【百合レポート】ジョノス氏によるソーシャルゲームの主人公比較論、並びに各作品のカプ発生論


2017年6月3日(土) 
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半年前くらいになりますでしょうか、わたくす残響がtwitterのTLで「なぜソシャゲの物語性やキャラを巡る【批評】が生まれにくいのだろう?」と発言しました。
当時のログとしてはこんな感じ。後半部分
そんときなんか自分の発言にしては珍しく、TLで反応があり、いろんな解釈が生まれたようで。
その中で、わたくすとも相互フォロー関係にある、とある歴戦の百合クラスタが「ソシャゲごとの主人公の差異というファクターもあるのではないか?」 というご指摘をなさいました。
その百合クラスタの方に「もうちょっと詳しくお聞かせ願えませんか?」と残響尋ねたところ、ではDMでちょっと……ということで、以下の長文レポートを送ってきてくだすったというありがたさ!

その百合クラスタの方の名は「ジョノス」氏(Twitterアカウント: @100000dollars)。
TLでよく百合関連の情報、考察を流してくれる確たる百合者として、わたくす以前より「この方は強者(つわもの)である……!」と思っていた方でした。
で、実際このようにレポートをくださって、……うーむ、ソシャゲとひとくくりには出来ない「主人公論、カプ発生論」でした。
残響も、これだけの百合論をDMでだけ閉じこめておくのは非常にもったいなく、ここに、ジョノスさんの許可をえて、公開する次第です。



●ジョノス

ソーシャルゲームごとの主人公と主な百合パターンを軽く執筆しましたのでちょっと長いですが送ります


〜主人公のビジュアルなし系〜

・艦これ
かつて主人公の具体的な性別の描写はなかったが、最近は男と明言したセリフや夫婦用の家具で片方が男用と明示されたりしている。
百合の多くは艦むす同士のカップリングであり、ケッコンカッコカリ等のシステムはあるもオリ女提督は稀
カップリングは史実ネタ、キャラクターが言及するキャラクターとのカップリングが主
まれにゲーム内でほぼ関わりがなくても明石と大淀のように一緒に扱われる事が多いからカップリングされるネタも見られる。
アニメで見られた組み合わせのカップリングもあるが、あまりメジャーではない。

・アイドルマスターシンデレラガールズ/スターライトステージ
主人公の性別設定はなく、ゲーム内ではほとんど言及されないがゲーム内漫画等よりスーツ姿の男と推定されやすい。
百合の多くはアイドル同士のカップリングであり、オリ女性プロデューサーは稀
カップリングはイベントや恒常シナリオでの絡み、同一ユニット内、一緒にカードに描かれたキャラ等
またラジオや漫画等でのメディアミックスからのカップリングも人気があり、とにかく新しい絡みがあったら新カップリングの誕生の勢いが非常に強い
アニメ独自での組み合わせの人気が凄まじく、本家の方に輸入されるほどの勢力。


〜主人公男女選択可能〜

・Fate/Grand Order
男女選択可能、男女でシナリオはほぼ変化しなかったが。後半になるにつれ男女の違いを意識した選択が増えてくる。
主人公はとにかく出会う女性キャラとフラグを建てる、女主人公でも変わらない、よって女性主人公なら百合ゲーと化す。尚何故か男性キャラは基本的にフラグが建たない。
バレンタインだろうと女性キャラからチョコをもらう、旦那様という言葉は女相手に使っても良いという補足、女同士でも子作りできる等女性同士でも大丈夫!と推してくるが
大前提としてTYPE-MOONワールドで肝心な前提として「最終的にどこに到達するのか。それのみが命の価値だと、天の星は伝えている。」
という言葉があり、相手の命、魂に惹かれるのであれば性別など関係ないという感じです
カップリングは女性主人公とのカップリングの他、シナリオで登場したカップリングがメイン、イベントで突如新たなカップリングが発生することがありその時は非常に盛り上がる。

・グランブルーファンタジー
男女選択可能、男女でシナリオは変化しないが、最近はシナリオそのものが男女で違ったりもする。
FGOと違い恋愛は基本的には男女で行うものという前提があり、それを端的に示すのがバレンタインで女性主人公が女性キャラクターからチョコを貰うことができないという点。
主人公が男女どちらであっても主人公に好意を向けるキャラは向けてくれる。また前途の恋愛観の世界でありながら一人明確に女性を病的に愛する女性がいるが、病的な点に言及はあっても
女性を愛すること自体は作中で否定されない。またストーリー自体女性が女性を想ったが故に起こった事件が多い。
カップリングは女性主人公ネタが以外と少なく、男女どちらでも変わらず慕ってくれるキャラでもあまり女性主人公ネタは見受けられない。
主人公以外の組み合わせはゲーム内で絡みある組み合わせがメインであり、盛り上がりもそちらが主。


私の主な観測範囲で、と注釈がつきますがひとまずは、簡易ですのでもう少しまとめていきたいです


●残響コメント(以上のDMを受けてのレス)

どうもです。昨日は魂のこもったDMありがとうございました。
現在「なう」な形での熱(死語)があるのは、アイマスとFGOと理解してよろしいでしょうか。もちろん艦これが「人気低下」というよりも、「定番カプが出来て落ち着いてディープな語りに移行した成熟」ととらえるべきだとは思いますが。
グラブルはやはり一人称視点ですか……あまり主人公のキャラ性、カプ性を云々するものではない、と。

しかしアイマスの新カプ誕生の勢いの強さは素直にうらやましい。まさにヴィヴィッドというか。
と同時に、艦これのような「アニメが二次創作にほとんど寄与せんかった」のとは違い、きちんとフィードバックが健全な形で行われている。
アニメ解釈、というのをどうするか、というのは、昔から難しいものでした。
が、このむずかしさは、アニメが「普通の大して力が入ってない凡作メディアミックス」だっただけのこと、と言えるのかもしれない……と、失敗した艦これアニメを眺めて思うところで。

それにしてもFGO……結局百合の基盤が「前提」からくる、というのは卓見かと存じます(ジョノスさんの見立てが)
菌糸類(きのこ)哲学というか。その前には性別などささいなこと……か。
個人的に興味を抱いているのが、先日自分のHPで「ふつうの子のナチュラルボーン攻性」ということで、ぐだ子を例に挙げて妄想 しましたが、ぐだ子の嫌味のなさ、っていいですね。ナチュラルにHENTAIをかましていますが、それもまた「普通の子」の陽性、というか。
ほら、乙女ゲーとかでも、すべての女子主人公が好かれる、とは限らないじゃないですか。
このところは、公式漫画でのぐだ子の活躍もあるのかな……?

非常に面白い百合論でした。参考になります。と同時に、ぼくに宛ててここまで分析・叙述に時間と労力を割いてくだすったこと、ありがたく、また誇りに思います。


ジョノスさんのレス

規模でいえばFGOはまだまだですけどね大きく注目されだしたのは年末からですし、新しい薪はあまりくべられてませんがやはり艦これは規模がかなり大きいです。


残響レス

あれ?まだまだでしたか、FGOは。それくらいでしたか……そうか艦これやアイマスは積み重ねた時間が違う……とはいっても、FGOも時間自体はたってますよね……一時期の追い上げがすごかった、とみるべきか。


ジョノスレス
fate自体の年季はなかなかですが百合としての認知度はいまいちでしたし、艦これは倍の期間運営してますし、何だかんだで社会現象でしたからね、FGOは今は冷却期間みたいなものですしこれからの百合イベント次第でしょう。



ーーーーー
ジョノスレポートを受けてのさらなる残響百合考察


さて。
自分の観測範囲だと、艦これ女性提督百合、というのは、やはり少ないと思います。もちろん、基本的に艦これ百合となると、艦娘どうしの百合カプとなります。第一、女性提督となると、かなり「オリジナル主人公(オリ主)」となりますから。

オリ主、というのは古代より論争が激しいファクターでして。たとえばこの女性提督をフェミニンにするか、イケメンにするかはまた別です。別ったら別。さらに、攻なのか総受なのか。総受だったらそれ相応の「個人的な魅力」が必要なところ。まさに艦娘とのタメをはれるような。

それでいて、海軍軍服の白さ……これをフェムっぽくゴスな方面で飾りたてて受であったり誘い受であったりの魔性をしても、それはそれでいいのかもしれませんが、そうであっても「個人的な魅力」がここでまた求められるようなものです。簡単に言えば鹿島をもう一個作るようなもんです。キビシィッ!

とはいえ、ジョノスさんも仰っているように、艦これはファン活動の熟成が進んで、各カプの解釈の熟成も進んでいるということ。
ならばオリ主は……? まあここで考えは止まってしまうわけですが、これは半ば二次創作ならぬ1・5次創作的なものになるのかなぁ、と。
そういったパワフルなのご存じじゃないですかねジョノスさん……?



●FGO

なんということだ、ぐだ子の魅力といったら……!それは自分は「ふつうの子」のかわいさ・魅力、と判断しているのですが(潜在能力は高く、それゆえの未来のカリスマ、隠れたるカリスマとしてサーヴァントに認められている的な)、基本的に「病まない、闇墜ちしない」陽性のキャラと認識しております。
調子よいキャラ、って感じですね。その調子よさが、基本攻めであり、また結構ディープなキャラに攻められることによりヘタレ受となるのもまた善し。

ジョノスさんが仰るように注目されたのが「去年から」ということですが、それでもこの着火と火の燃え上がりは早い。それも、かなりの部分で「陽性主人公ぐだ子」の要素が非常に大きいのではないかと思う。それだけ、先に述べた百合主人公としての「個人的魅力」があるということ。「ぐだ子ならいいっかぁ……」と思わせるカリスマというか人間的魅力というか天然女タラシというか。

かてて加えて、マシュの存在も大きかろうと思います。鉄板受キャラとして、またぐだ子の嫁候補のトップとして。まあマシュを攻とするのを否定してるわけではありませんが、まず第一の解釈は、副官ポジ、後輩ポジとしていじられる方向性の受でしょうっ。

また、これは別の方から指摘されたことであるのですが、型月世界は「乙女ならぬ漢女(おとめ)」とでも呼ぶべき意志と力の強い女性が多い、と。ていうかほとんどコレじゃねえか、的な。そういわれてみれば、月姫とらっきょ(空の境界)を当時やってた自分でもすんなり飲み込める話ではあります。

邪ンヌとか。あるいは、この邪ンヌがヘタレ受になるところなんか。ああ、リバに作為がない!(あるいはネタ方面の作為はあっても、最後に口に運んだときの甘美なる味があればよろしいのだ)

とまあ、こんな感じでかなり考察妄想、理論主柱が出来てくるのも、ジョノスさんがはじめに作ってくだすったレポートありきであります。
改めまして、御礼申し上げます。それとともに、百合二次創作クラスタにおきましては、このレポートをお使いくだすって、より理想的なオリ主造形、カプ解釈に励んでいただければ、百合クラスタとしてこれ以上の喜びはありません。



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