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暗黒結社ダークゴッド団『みほさん好き好き愛里寿ちゃん』感想
&愛里寿×みほ(みほアリ)考察



(1)はじめに(模型HPらしくガンプラ作りながら)

あけましておめでとうございます。

正月三が日から仕事が神busyなのですが、そういうことはどうでもいいか読者的には。
今年も当HPをよろしくお願いします。

さて、通販で購入した、冬コミガルパン百合同人誌を、きうけい隙間時間にぽつぽつ読んでるわけですが、

福岡太朗(サークル・暗黒結社ダークゴッド団)
『みほさん好き好き愛里寿ちゃん』


「愛里寿×みほ(以下みほアリと称す)」イチャラブ本として、白眉の出来だったので、ここに感動とともに記します。

今回この本を買ったのは、よくtwitterでガルパンコミックイラストが流れてくる、
福岡太朗氏の同人誌を一冊は買ってみたいなぁ、と思い、
何の気なしに最新刊から買ってみたところです。

読みました。作風は把握しました。これは……既刊集めコースかな……。


作者・福岡氏があとがきで書いてるように、



「かわいい表紙のクソみたいなギャグ同人誌を描こうと思ったのですが、
色々あって「かわいいのを描いてしまえ!」っていう感じで
かわいいあざとい同人誌を描こうと思ったら、こうなりました。
一周回ってギャグになったのか
それともかわいくなったのか
なんだかよくわかりません」



このコンセプトは見事に達成された、と断じてよろしいです。
キレのよいギャグが、きちんとイチャラブに昇華されている。
いや、コーヒーと砂糖のように、見事な調和をみせている……!
ギャグは刹那の脱臼だけではなく、その背後の芳醇なる百合イチャに接続しようとする予感を漂わせる……!



もちろん、ギャグイチャラブ本だけに、イチャラブの「詳細」までは描写はしていません。
その傾向は最後までですので、あっさり味と言えます。

しかし適うならば、みほアリ百合騎士の面々は、
この同人誌の本質、シチュを生かしたSSなんか書いてみちゃってもいいんじゃないかな?

その理由は、後で語ります。



(2) 3行でわかる愛里寿・ウォーあらすじ

この本は、劇場版円盤(ブルーレイ、DVD)の特典・「愛里寿・ウォー」の後日談、
というところから話を進めています。
つまり原作の読み込みが深いということであります。
この時点でガルパン同人誌として信頼出来る証とも言えます。


ところで、以前、自分は「愛里寿・ウォー」の簡単な考察をしたのですが、
これ長いので、簡単に「愛里寿・ウォー」のあらすじを今北産業します。


1。島田愛里寿が大洗に来る

2。大洗を体験入学
3。みほと戦いたいという理由で去る

……以上っ!戦車戦いっさい無しの日常回であります!もうネタバレとか気にすんな!
これをふまえて、まずは、この本がみほアリとして優れているところを語ります。


(3)パワーワード

この本では、基本的にみほが受、愛里寿が攻……というよりは、
愛里寿がギャグネタの主人公となっています。

で、だいたい、どのオチも「だめだこいつ何とかしないと……」式の
「百合的にアタマ沸いてる」なギャグです。


それだけなら、いつもの百合ギャグ本、として流してしまいがちになるのですが
、この本は「愛里寿・ウォー」後としてのシチュエーションに大変優れている!


「なんだかんだでやっぱりみほに会うため大洗に」

「みほと同棲」

「同棲!!!!(じたばた)」

「優花里、まほ、エリカといった面々と絡む」

「パンツァー・フォー!」


というのがだいたいの本の流れです。(ネタバレを避けております)
このうち、「みほと同棲」「同棲!!!(じたばた)」なシチュ……
まあもちろん、先に述べたように、百合日常イチャの「詳細」はなく、
むしろキャラが「そういうシチュにある」ってことを自身で自覚して萌えてしまう、
っていう内容が過半数なんですが。

まあだいたい、以下のパワーワードを披露すれば十分すかね。


「ふつつか者ですがよろしくお願いします」
「この玄関先のやり取り、夫婦みたい……夫婦みたい!」
「私は13歳で年の差も……。3歳くらいの差だよね。なんか丁度良い年の差かもしれない(きゃー)」
「私一人暮らしだから、家族が出来たみたいで嬉しいなって」「(結婚)」
「(パジャマも下着も借りて)洗ってなくても大丈夫だから!」


……Oh yes,Hell yeah!!
特に重要なのは、ただ一晩だけだった
みほアパートでのお泊まり」のところの延長(エクステンド・アドヴァンスド!)たるシチュの示唆! 
ここからみほアリの「所帯性」を引き出し、ゆったりとした年の差百合夫婦として……
……なんということか! みほアリにはこのような金脈があったのか!

ギャグ故に、いっさいの屈託なく、タイトル通りに「みほさん好き好き」で通すので、この安心感よ。



(4)みほカプ情勢概略

さて、ガルパン百合萌えの界隈で、まず、みほカプの相手となると考えられるのは、

(1)優花里(みほゆか)

(2)まほ(みほまほ)
(3)エリカ(エリみほ)
(4)会長(みほ杏)


の4者になると思います。基本的なところでは。

もちろん、みほさお、みほ華、という友情発のあんこうカプを低くみたり、
みほ梓という先輩後輩カプを低くみてはいません。
……が、あくまでカプ萌えの総数、というところで言うと、だいたいクラスタは(1)〜(4)にわかれるでしょう。

とくに(3)のエリみほは、かなりのところ「二次妄想」「妄想者の闇を投影」する傾向にあるので、
大変盛り上がりつつも、しかし「これをメジャーにしてはいかんだろJK……」
といった屈託もあります。個人的に。
(もっとも、その方向性でより闇が深いのはみほ杏ですが。
ちょっと界隈、闇みほ・杏罪悪感、の構図にしすぎじゃなかと?)



わたし(筆者)はみほまほの徒ですが、まあ。それはいいんだ。
しかし、「愛里寿・ウォー」以来、(5)の可能性として、みほアリが入ってきたのは、衆目の一致するところです。



さて、ではみほアリをどう描くか
についてですが、実はこれは、
クラスタが「どうしたものか」と悩んでいたのではないか、と推察します。


なぜなら、愛里寿の王道ツンデレにしてクーデレロリ、という造型が、
攻受の方向性を簡単には見定めさせてくれない、というところがあります。


みなさん、考えてください。
愛里寿って、攻ですか?受ですか?


このあたり、どうも皆が判断を保留しているように見受けられる。

というのも、愛里寿自体が、キャラの掘り下げがまだ足りていない、
というのもありますし、
同じくらい、「基本的に皆に可愛がられる立場」であるから、といえます。


では受か? この路線の仮定がひとつ。

では誘い受けとしてのツンデレ小悪魔リバ攻か?この路線が仮定二つめ。

どうも、攻と安易にしてしまっては、たとえば副官ミミミバミューダ3姉妹を、
ロリビッチとして妖しく攻める、という方向性しか見いだせず、
むしろそれは愛里寿の可能性を狭めること、となりかねはしないでしょうか。
(もちろん百合逆NTRの可能性を愛する方々を否定するわけではありません)


むしろそれより、愛里寿の総受け的ともいえる
「みんなから溺愛され可愛がられる」少女の純粋さを前面に出していったほうが、
より愛里寿のかわいさの強烈さを描くことになりはしないか?



では、みほ側の問題になりますが、
さて、みほを「闇墜ち」させず(NOTエリみほ、みほ杏的造型)、
「重度シスコン化」させず(NOTみほまほ的造型)、
「イケメン西住殿」にさせず(NOTみほゆか的造型)
……と考えると、みほのスタンス、というのの可能性が、
実は狭まっていくところにある、のが、みほアリの悩ましいところだった、
と言えると考えているのがわたしです。


じゃーどうすればええんや。
そこで福岡氏のアプローチ
愛里寿を好き好きみほさん、にして、ナチュラルにみほにアプローチしてく。
そのレスとしてのみほの、愛里寿ちゃん好き好き、の無限イチャラブ螺旋構造
を導入する、ということです。


福岡氏がここまで理屈立てているとは思えない。オーガニックな作風なこの本です。、
しかしみほアリを理論だてようとするなら、こういうことになるのです。
そして、この本でのみほアリがごく自然に「好き好き」になっているのは、福岡氏のとったアプローチが成功をおさめている証です。


ゆえに、みほアリクラスタは、こんど三月に出る愛里寿フィギュアを眺めつつ、
出来ればこの「みほさん好き好き螺旋構造」を、積極的に妄想SSに導入してもらいたいっ! 
世界はみほアリを求めているっ!



(5)所帯もの百合

もちろん、ギャグが全体的にキレていて、絵柄がオーガニックなやさしさあふれるものだ、
というのも良き点で、さらに優花里とエリカがナチュラルに「アタマわいてる」というのもおもしろい。


しかしそれにつけても(おやつはカール)、百合における「所帯もの」という方向性は、
大変すばらしいものがあります。小さいアパートで、二人の少女が生活を営む。
そんなに裕福な暮らしじゃないけれど、それもまた楽しくて。日常が楽しくて。

そう、そこのところを、実はこの作品はサラっと描いていて。


エリカ「話は聞いてるわ、みほと一緒に住んでるらしいわね。うらやましい」
愛里寿「毎日楽しい……」


日常もの、の極北として。この方向性は、どちらかというと、
非公式二次妄想・「まほチョビ」でよく描かれているのですが
(それにしてもどうしてこのカプ、生まれたんだろう……)。
しかしみほアリでそれをやって悪い、なんてこたぁねえ、
いやむしろやるべきだろう!


やはり、日常のなかに萌えはある。日常のなかに百合はある。
このあたりの、日常をゆりんゆりんにしつつも、どこか詩的にさす効果……。

そして、「毎日楽しい」ということ! これは良いではありませんか。心が和むではありませんか。

……と、なんだか途中からみほアリ論になってしまいましたが、この同人誌はそのようなことを考えさせてくれました。
新年から良いイチャラブギャグ百合同人誌を読みました。
多謝。きうしうは福岡……光は西方より降り注ぐ……。

2016/01/03 残響(@modernclothes24)
(恋の呪文はミカアキミカアキ)

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