2017/05/10読書予定リスト & 読書/小説論における「feeさんならどうする?」メソッド


HP百合機械トップ → ここ
2017年5月10日(水)


読書猿「アイデア大全」 という恐るべき発想法大全書のなかに、20番目として、
「ルビッチならどうする?」
という思考実験があります。

具体的には(引用)、
「これといった人物を1人定めておき、行き詰まったとき
「彼/彼女なら、どうするだろうか?」と考えてみる」

英語のことわざで言うとこの「他人の靴に足を入れてみる」ってやつです。
ただ、この発想法の特異なとこは「他人を、具体的な一個人に限定してみる」っていうとこで。



ここのところで、自分が、読書(主に小説読書)について考察する場合(読書論、小説論、小説読破論)、
「feeさんならどうする?」的思考回路メソッドが出来つつあるのに気づく。

※feeさん……書評・スポーツ観戦・エロゲレビューブログ「止まり木に羽根を休めて」管理人

※2. feeさんと残響は、共同で対談ブログ「止まり木の足りない部屋」もやっています。
  今回のこのエッセイは明らかにこの対談の「ブラッドベリ読書会」が影響を及ぼしまくってる。


もちろん、この「feeさんだったら?」は、なにも生活様式全般においてに適応されるわけではない。あくまで読書(小説)。
なぜなら、feeさんと自分とでは、明らかに読書のやり方が違う。
好みも違うし、くみ取り方も違う。読むスピードも違う……
……こうなったら「読書観」「読書哲学」が、北欧の人と南ラテンアメリカの人とぐらい違うように思える(さすがに火星人とまではいわない)。


この場合、「なぜその違いは生まれたのか」と考えるよりも、まさに「feeさんだったらどう読む?」という考察こそが大事で。
違い、落差、差異の現れとしての、比較読書論である。
もちろん、残響が考えるfeeさんというのは、実際のfeeさんではなく、仮想人格である。
むしろ実際のfeeさんにいちいち「どう思います?」とお伺いを何度も何度もたてまくる、というのもまた違うような気がする。
仮想人格として、自分と異なった強者・玄人としての読書家としてのfeeさんを、
自分の中のリファレンスとしておいてみるということ。


そんなことをしてると、結構自分のなかで、思考の相対化というのが生まれる。

feeさんがわかりやすい人間だ、というわけではない。
もし簡単でわかりやすい人間だったら、そもそも「feeさんだったらどうする?」の思考実験をする価値などない。
むしろfeeさん的謎……feeさんのわかりやすくない読書観、というもののを通して、
わたしはある程度、読書・書籍・小説・文章……といってものをみているフシがある。
それはスコープだ。しかし先端についてる鏡は、実際のところ万華鏡である。

タチの悪いことに、これは「feeさんを理解する」というのではなかったりする。
結果的に「feeさんを理解するにおいて、仮説がひとつ出来た」程度のことであって。
さらに言うなら、feeさんにあたかも恋をするかのようにfeeさんの全部を理解しようなんて、さらさら思ってはない(ストーカーかよ)


つまりこれはfeeさんに奉仕することではない。
あくまでも……言葉を悪くするなら、残響にとって「feeさんならどうする?」のスコープは、
とても「使える」ものなのだ。自分の読書に対する思索を深めるにおいて。

とはいうものの、基本的にわたしは、feeさんという読書家に対して、
読書スピードなど「なかなか自分はそれが出来ない」という能力上の畏怖 と、
なかなか自分はそれほど物語世界を純粋には見れない」というセンス上の憧憬 とがあって、
その分野においては、日がなのネット友人的な好意とは別に、ひとつの「読書人としての心地良い距離感 」を抱いております。





2017年05/10現在、読書予定リスト(図書館で借りてるものも大幅に含む)


このリストは、上記feeさんに自分が、「お互いの読書予定リスト記事を挙げてみるのってどーです?」と打診しまして。
そんで自分がこの記事書いてたら、feeさんがさくっと「2017年に読んだ本(随時更新)」の記事のラストで、読書予定リストを作ってくださいまして
やべえ自分もはやく書かねば!ということで、荒いですが、アライさんですが、まあアップします。
全部パーペキ(100%)読み切れるかは、いわゆるところのgod only knowsっていうことで……。


●「ファーブル昆虫記」奥本大三郎(解説・訳)

……自然と文学の融合というか、今更ながら読み進めているところです。
これは「完訳版」ではなくて、子供向けの、
かなり奥本氏の解説が入った「ファーブル昆虫記、アンリ・ファーブルってこういうことやってた人だったんだよ」
な翻訳+解説本といいますか。でも、ラクチンな作りではなく、もちろんガチ。
むしろ自然科学リテラシーの少ない自分にとっては、いきなり「完訳版」に手を出すよりはよかったかもと。
まず岩波少年文庫の上下巻のを読みまして、この集英社版を読破ののち、
いよいよ「完訳版 ファーブル昆虫記」に入ろうと思います。

●養老孟司「人間科学」「まともな人」「超バカの壁」

……なんとなく、先日から養老孟司を読み始めています。前述のファーブルも、完全にその流れ。
高校生のとき、2、3冊養老孟司は読んだのですが「(涼しい脳味噌」とか)、ぜんぜんピンとこなかった。
でも、それから10年以上を経た今、読むとやたらおもしろい。
昔、自分は理系アレルギーかつ、人工物・幻想もの以外は興味なし!って人間でしたしねー。
とりあえず、「養老孟司の大言論(1)〜(3)」は読んだ。「からだを読む」も。
対談集「文系の壁」は半分くらい。(お目当ては森博嗣博士との対談でしたw)。
自伝「運のつき」も読んだ。やたらハイペースだな……。


いつも行ってる、地元の町の図書館の館長さん一家が、島根に養老孟司が来たときに講演会をしたのを聞いたとかで、
「講演をしてるときに、珍しい虫がやってきて、そっちに意識がいってしまって講演が適当に終わってしまって……(笑)」
というエピソードを館長さんから聞いた。
サモアリナン諸島とはまさにこのことだけど、養老孟司をあんまり知らないひとからしたら「なんだこいつ!」となるのもムベナルカナ。


●奥本大三郎、池田清彦、養老孟司「ぼくらの昆虫採集」

……で、ファーブル昆虫記の訳者や、その養老博士という「虫取り好き」が集まって、「虫取りとはこういうものなんだよ」のTIPS実践本がこちら。
「昆虫採集による、哲学読み物」ではなく、あくまで昆虫!採集!そのやり方!みたいなので埋め尽くされてる本。
自分は、もともと虫がだいっきらいで、今も好きとはいえないのだけど、
でもよーく見てみたら、なかなかかっこいいフォルムをしている……と思えなくもない、模型脳でありました。
そういえば昔、トランスフォーマーでインセクトシリーズってあったな……。海外モノだったので、身近なおもちゃ屋さんにはなかったな……。


●V.E.フランクル「夜と霧」(2002年新版)

……やったよ、出たよ、どシリアス本だよ!何回か読んではいる本なのですが、改めて……
……というか、「人間はむしろ、近距離的な善をしようとして、結果おぞましい悪をなす」
「ひとりひとりはふつうでも、群衆をなしたら悪になる」
「耐えざる疲労は狂気を生む」
「限界状況の人間性なんて、わかんないもんだ」……まあいろいろ、解釈はある。
しかし恐ろしいのは、自分、精神病棟の閉鎖ルームに入ってたことがあったんですが、
そこの状況とこの「夜と霧」的な人間存在末期状況というのが、結構似てましてね……今だからこそ読める。
学生時代ではある種の思考実験ファンタジーだったけど(言葉を隠さず言えば)、今は、ねえ……。


●川上未映子(聞き手) 村上春樹(語り手)「みみずくは黄昏に飛び立つ」
……村上春樹新作長編「騎士団長殺し」を経てのロングインタビュー本。かなり「村上流・創作のありかた、やり方」について書いてある。
それにしても、川上氏でなくても、村上春樹の「ここまで非ー批評的に小説を書く」という態度には脱帽する。
ここまでくるともう鵜呑みにするしかねえっていうか。



【絵本、写真集】

●高森登志夫(絵、文)「森のみずなら」
……圧倒的細密の樹木!そんな表紙を見て、こりゃあ読まねばネバネバ、と。たぶん人間が出てこねえぜ

●ジェリー・ピンクニー(作)、さくまゆみこ(訳)「イソップものがたり ライオンとねずみ」
……表紙を見ただけで燃えるような筆致!色彩!こりゃあ読まねばばねばね、と。たぶん人間が出てこねえぜ。
しかしおれの絵本選びって9割ジャケインプレじゃねえか……(汗

●「世界絶景紀行 街道・水路・鉄道を行く」
コンビニでなんか売ってたから買ってしまった……。こういう風景写真本に弱い。弱すぎる自分。で、この手の本には珍しく、水路、鉄道(トラム/路面電車)に重点を置いてるので。


【雑誌】
●月刊アーマーモデリング 5月号(ソ連戦車特集)
あー……今月号の「ラスト・オブ・カンプフグルッペ」に関しては……「大日本絵画さ〜ん、まーたやってしまったねー」(けもフレ・フェネックのあの声)と言うしかない。
新たに伝説をひとつ作った、ということで目こぼししようや(それもそれでどうよ

●月刊モデルグラフィックス 6月号(宇宙戦艦特集)
M3修羅場で忙しくてまだ読めてない……。

●月刊モデルアート 6月号(”映える”を創る)
なかなかこういう「フィニッシュワーク」を限定して、各ジャンルに渡って網羅的に特集組むのも、意欲的ですね。
最近のモデルアートは、こういう意欲的な特集記事の方針……ある種の「実地哲学」が見受けられる記事が多くて楽しみにしてます。


【アンソロジー】
「万葉集(一)」(小学館 完訳 日本の古典 2)
やっぱり読まなきゃね。コトノハ・オブ・ファーイーストアイランズの原点。読もうぜ。



……さぁーて小説が一冊もねえぞ、どうしたことか……(汗


HP百合機械トップに戻る


Powered by Fumy Web Diary.